非抜歯ケース(抜かない治療)も歯軸(歯の傾き)が急になり過ぎて、術後、歯槽骨(歯の周りの骨)の再生がなかなか起こらないことがある(ぺリオテスト使ってないドクターには解らない)けど、最近は矯正専門でもないドクターが抜歯ケースに手を出してる光景をよく見かける
数年前に一般歯科で矯正治療して、しばらくしてから口が開かなくて強い痛みが出て、噂を聞いて当院にかけ込んでこられた患者さんがいた。
僕は口腔内を見て愕然とした
我が目を疑いましたよ~
美容外科で歯の矯正をしてトラブっった患者さんを診た時も驚いたけど・・・・・今回は一般歯科で矯正歯科の標榜をかかげて、それなりの年数がたった医院で治療された患者さんだったので、「フ~~」っとため息が出ました。
口腔内写真
すごいディープバイト(前歯の被りが深い状態)
下の前歯が見えない~
FIX(永久固定)もしてない
リテーナーを、ある一定期間だけ使用する という術後対応
当然ながら叢生(ガタガタ)も出てきている上顎第1小臼歯2本を抜歯している
今回、僕が1番驚いたのが「この光景」
気が付かないドクターがいれば「大バカ者
」この方は3Incisors(前歯3本)ケース(先天的に前歯が3本しかない人がいる、通常は4本)このケースに対して下顎の第1小臼歯2本を抜歯している
一般歯科医は、矯正治療で抜歯して治す場合、上下第1小臼歯(4番目)を抜歯するのが固定概念になっていて(もちろん専門医と組んで治療してるドクターにはそんな方はいないと思うが)、このケースがいい例ではないかと思う。
ただでさえ下顎の歯が1本少ない状況で上下小臼歯を4本抜歯すれば、当然、上下の歯数の違い(上は2本、下は3本少ない)により上顎のアーチの方が大きくなり下の歯列にかぶり込む現象が起こる
それに伴い、下顎のロッキング(下顎が自由に動かせない状態)が起こり、開口障害や顎関節部の疼痛が発生する。
僕にはごく当たり前の現象に思えるが、関係者の方々はいかがだろうか?
よ~く見ると、スピーカーブ(横から見た歯列の彎曲)の除去、下顎第2大臼歯の舌側傾斜、などのレべリング(歯列の標準化)もきちんとできてないため余計にディープバイト(前歯の被りの深い状態)になる。
インビザラインやアソアライナー、クリアアライナーなどと呼ばれる叢生(ガタガタ)の改善がメインの低レベルの治療法でも、こういったことは起こり得るかもしれない?
とにかく、これ以上、歯数を減らす訳にはいかないので、このハンディーを背負った状態での戦いが始まった。
術後
下顎3前歯の真ん中に正中を合わさなければ治せない
ディープバイト(深いかぶり)も改善されました
下顎の歯軸(舌側傾斜していた)も改善
側方歯(横の歯)も良い位置で噛めてます
顎関節へ負担をかけないよう第2大臼歯(1番後ろの大臼歯)の噛み合わせも楽(接触を軽め)にしときました~(^-^)
下の前歯はしっかり見えてますね
側貌(横顔)も乱さずに済みました
当院では(FIX)永久固定をしっかりします
抜歯ケースは小臼歯まで固定しなきゃダメですよ
開口障害も、酷い疼痛も完全に消失
現在まで全く症状は出ていません。
何とかここまで持ってこれましたが、この患者さんが他院で治療せず最初から当院に来られていたとすれば、治療方針は3つあったかもしれません。
1つは非抜歯(抜かない)で下顎の歯が足らない部分に矯正治療で歯を移動させて隙間を作り、インプラント(人工歯根)を植立する。
矯正料金+インプラント料金ということになり、かなり高額になる。
2つ目は下顎はそのまま並べ、上顎はストリッピング(歯の間をやすりがけして隙間を作り上顎のアーチを縮小させてアーチの大きさを合わせ並べる。
3つ目は下顎の前歯を1本、上顎の小臼歯を2本抜歯して上下で歯の数を合わせて治療する。
要するに、基本的な考えとして、上下の歯の数は顎変形症などでオペしない場合などの例外を除いて極力合わせることが大切である。
当たり前のことすぎて言ってて恥ずかしくなってきたが・・・(^_^;)
でも、矯正の看板上げて抜歯して治療するなら
これくらいは治さなきゃ!
僕が最初から治した抜歯ケース
術前
正中離開の見られる上顎前突
奥歯から全体的に前にずれてる
出っ歯だね~
口元の前突感もスゴイ
歯を抜かないで治療した場合この前突感は治せない(T_T)
ガタガタだけが不正咬合ではないのだよ!
術後
真横から見ると
第2大臼歯(1番後ろの大臼歯)の接触は軽めに
舌が前方位(前に出てる)を取ってるのが少し気になる。(拡大してご覧あれ)
術前が上顎前突(出っ歯)であったことも考慮し、口輪筋(唇の筋肉)を鍛え、正しい舌位の意識、鼻呼吸の意識&管理をしっかりすることで歯を取り巻く環境を良くし術後の後戻り(歯並びが崩れてくる現象)を防いでいくことも極めて重要なことである。本人には再三言ってることだけど、術後管理に来院された時には、また言って聞かさなきゃ
術後の美しいE-ライン
抜歯しないと、この口元は作れない
術後
当然のことながらFIXも上下しっかりと
この方は、現在アメリカに住んでますが、アメリカ人には決して負けない歯並びだと思います。
世界に羽ばたけ日本人
(‘-^*)/
在りし日のマイわんこ「武蔵」
今度こそ今日のマイわんこ「武蔵」
幼いころのマイわんこ「武蔵」
(^∇^)
僕愛用の矯正専用に開発されたカメラ
何事も簡単に諦めないで頑張りましょうね
諦めたら、そこで終わりだから・・・
前に進まなきゃ明るい未来は来ない
1日1日でいいから頑張りましょ
シュワ~ッチュ